物流会社

結論から言うと、物流会社は「モノを運ぶ・保管する・流通を整える」までを担う事業者の総称で、扱う範囲と得意分野で選び分けるのが正解です。
この記事では、運送業専門の行政書士として許認可の現場に12年いる私が、物流会社の定義・費用・始め方を、2026年4月施行の改正法もふまえて整理します。日本の主要な物流会社も具体名で見ていきます。
物流会社の結論

物流会社とは、荷物の輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報管理を担う事業者のこと。簡単に言えば「モノを必要な場所へ、必要な状態で届ける仕組み」をまわす会社です。
ただ、今は「運べばいい」時代ではなくなりました。2026年4月1日、改正物流効率化法が全面施行され、荷主・物流事業者の双方に「物流効率化のために取り組むべき措置」の努力義務が課されています。
施行は2段階。2025年4月に一部、2026年4月に全面という流れです。これから物流会社を選ぶ・始めるなら、この枠組みを外して語れません。
正直に言うと、現場でいちばん効いてくるのは荷待ち・荷役時間の短縮です。改正法はこの是正と多重下請構造の是正を目的に掲げています。荷主側の都合で運転手が何時間も待たされる、という構図にメスが入ったわけです。
国が判断基準を策定し、取組状況に対して指導・助言、調査・公表を行います。一定規模以上の特定事業者には中長期計画の作成と定期報告が義務になります。
| 区分 | 指定基準 |
|---|---|
| 特定荷主 | 貨物重量9万トン以上 |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両150台以上 |
| 特定倉庫業者 | 貨物の保管量70万トン以上 |
加えて、特定荷主には物流統括管理者(CLO)の選任が義務づけられます。物流を経営の意思決定に組み込む役職、という位置づけです。
| 項目 | 目標値 |
|---|---|
| トラックドライバー1人当たりの拘束時間短縮 | 年間125時間 |
| 荷待ち時間・荷役等時間(1運行あたり) | 2時間以内 |
| 1回の受渡しごとの荷待ち・荷役等時間 | 1時間以内 |
| 積載効率 | 44%(5割の車両で積載効率50%を実現) |
背景には2024年4月からの規制もあります。トラック運転者にも時間外労働の上限960時間が適用されました。人手で押し切る運び方が、制度的に通用しなくなったのです。
Myニュース
物流会社を比べるとき、私が必ず勧めるのは「上場各社の決算期と事業領域をセットで見る」ことです。決算期が違えば、最新の数字が出てくるタイミングも違う。横並びで比べる前提が崩れます。

たとえば総合物流国内最大手のNIPPON EXPRESSホールディングスは12月期、海運リーダーの日本郵船は3月期です。同じ「物流」でも、業績の物差しの起点がずれている点に注意してください。
| コード | 企業名 | 主な事業領域 | 決算期 |
|---|---|---|---|
| 9147 | NIPPON EXPRESSホールディングス | 総合物流国内最大手・国際複合輸送 | 2025年12月期 |
| 9101 | 日本郵船 | 総合海運・陸上・航空 | 2026年3月期 |
| 9064 | ヤマトホールディングス | 宅配便トップ・EC配送 | 2026年3月期 |
| 9143 | SGホールディングス | 宅配便国内2位(佐川急便)・企業向け配送 | 2026年3月期 |
| 9069 | センコーグループホールディングス | 総合物流・ファッション分野 | 2026年3月期 |
| 9076 | セイノーホールディングス | 陸運大手・全国路線網 | 2026年3月期 |
| 9065 | 山九 | 物流主力・製鉄高炉改修請負 | 2026年3月期 |
| 9025 | 鴻池運輸 | 総合物流・生産流通工程の業務請負 | 2026年3月期 |
| 9302 | 三井倉庫ホールディングス | 倉庫大手・文書保管・海外展開 | 2026年3月期 |
| 9364 | 上組 | 港湾総合運送・六大港取扱高トップ | 2026年3月期 |
| 2384 | SBSホールディングス | 総合物流・施設開発 | 2025年12月期 |
この表を眺めると分かるのは、「物流会社」という枠の広さです。トラックの会社、海の会社、倉庫の会社、港の会社。同じ言葉で括っても中身はまるで違います。
1925 大和ハウス工業 【住宅大手】商業建築やホテル、ホームセンターなども手掛ける。 2026年3月期
住宅大手の大和ハウス工業が、なぜ物流の話に出てくるのか。物流会社そのものではないのに、物流業界と切り離せない存在だからです。
同社は商業建築やホテル、ホームセンターなどを手掛けます。決算期は2026年3月期。住宅以外の事業領域が広いのが特徴です。
私の実務感覚で言うと、物流会社を選ぶときに見落としがちなのが「倉庫という箱を誰が建てたか」です。大型物流施設の開発は、こうした建設・不動産系の企業が担っている。運ぶ会社と、運ぶ場所を作る会社は別、という当たり前を押さえておくと選定がぶれません。
9147 NIPPON EXPRESSホールディングス 【総合物流国内最大手】子会社に日本通運。国際的な複合輸送に強み。 2025年12月期

国内最大手を一社挙げるなら、NIPPON EXPRESSホールディングスです。子会社に日本通運を抱え、国際的な複合輸送に強みを持ちます。決算期は2025年12月期。
複合輸送とは、トラック・鉄道・船・航空を組み合わせて一本の輸送に仕立てること。海外に荷物を出すなら、ここの守備範囲の広さは候補から外せません。
特定荷主の指定基準は貨物重量9万トン以上。最大手クラスはこの基準を当然超えてきますから、中長期計画の作成や定期報告といった義務の最前線にいます。改正法の実務をどう回しているか、選ぶ側の参考になる立場です。
9101 日本郵船 【海運業界リーダー】総合海運会社。陸上、航空サービスも展開。 2026年3月期
海から見た物流の代表格が日本郵船です。総合海運会社でありながら、陸上・航空サービスも展開します。決算期は2026年3月期。

国際輸送の主役は今も船です。重い・大きい・量が多いものを安く運ぶなら海運に勝るものはない。ただ、リードタイム(届くまでの時間)は長くなる。ここはトレードオフです。
正直、個人や中小事業者が日本郵船と直接やり取りする場面は多くありません。むしろ、フォワーダー(貨物利用運送事業者)を通して海運網につながるのが現実的な使い方です。
9064 ヤマトホールディングス 【宅配便トップ】集配網と配送品質に定評。EC需要の拡大に対応。 2026年3月期
宅配便のトップがヤマトホールディングス。集配網と配送品質に定評があり、EC需要の拡大に対応してきました。決算期は2026年3月期。
私たちが「物流会社」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、たいていここでしょう。家の玄関まで届く最後の区間、いわゆるラストワンマイルを握っています。
ただ、改正法の文脈で注意したいのは2024年4月からのドライバーの時間外労働上限960時間です。宅配は荷物の総量が多いぶん、運転手1人当たりの拘束時間を年間125時間短縮するという目標の影響を、もっとも正面から受ける領域だと私は見ています。
9143 SGホールディングス 【物流大手】子会社の佐川急便は宅配便国内2位。企業向け配送に強み。 2026年3月期

ヤマトと並ぶ宅配の雄がSGホールディングス。子会社の佐川急便は宅配便国内2位で、企業向け配送(BtoB)に強みがあります。決算期は2026年3月期。
個人宅配のイメージが強いですが、現場で見ていると企業間の配送こそ佐川の地力が出る領域です。法人の定期便を頼むなら、ここは必ず相見積もりに入れたい一社。
改正法は多重下請構造の是正も目的に掲げています。大手元請が下請に丸投げを重ねる構図にメスが入る。誰が実際に運んでいるかを、荷主が確認しやすくなる方向だと理解しています。
5801 古河電気工業 【素材関係に強み】通信インフラ、電装など4部門で稼ぐ構造。 2026年3月期
古河電気工業は物流会社ではありません。素材関係に強く、通信インフラ・電装など4部門で稼ぐ構造を持つメーカーです。決算期は2026年3月期。

では、なぜここに並ぶのか。こうした製造業こそ「荷主」だからです。改正法で努力義務を負うのは、運ぶ側だけではない。モノを出す側、つまりメーカーも対象です。
特定荷主の基準は貨物重量9万トン以上。大手メーカーは荷主としての義務に向き合う立場にあり、物流会社選びの発注者側として動きます。物流を語るとき、荷主を抜きにはできないのです。
6770 アルプスアルパイン 【総合電子部品大手】家電、情報機器向けで高いシェア。 2026年3月期
アルプスアルパインは総合電子部品の大手で、家電・情報機器向けに高いシェアを持ちます。決算期は2026年3月期。やはりこれも荷主側のプレイヤーです。
電子部品は小さくて軽く、単価が高い。運ぶ量(重量)は少なくても、付加価値の高い荷物です。だからこそ、欠品や破損を避ける品質管理の比重が大きい。
私の経験では、こういう荷主は「速さと確実さ」を物流会社に求めます。重量で測る9万トン基準には届かなくても、求める輸送品質は高い。物流会社の選び方が荷物の性質で変わる、いい例です。
1332 ニッスイ 【水産業界の老舗】海外で養殖事業。冷凍食品・医薬品も展開。 2026年3月期

水産業界の老舗ニッスイ。海外で養殖事業を営み、冷凍食品・医薬品も展開します。決算期は2026年3月期。
食品、とくに冷凍・冷蔵が絡むと、物流の難易度は跳ね上がります。温度を切らさず運ぶコールドチェーンが必要になるからです。
普通のトラックでは運べない。冷凍倉庫トップのニチレイや、総合物流のセンコーのような温度管理に対応した会社と組む必要があります。荷物が冷えているかどうかで、選ぶべき物流会社は丸ごと変わる、と覚えておいてください。
非上場 ロジスティード 陸・海・空を網羅した総合的な物流サービスの提供等 2025年3月期
最後に非上場のロジスティード。陸・海・空を網羅した総合的な物流サービスを提供します。決算期は2025年3月期。

上場各社ばかりに目が行きがちですが、非上場でも総合物流を担う有力企業はあります。サードパーティロジスティクス、いわゆる3PL(物流業務をまるごと外部に委託する形)の受け皿として存在感のある一社です。
私の率直な意見を言えば、物流を丸ごと任せたい荷主にとって、上場か非上場かは選定の本質ではありません。陸海空をどこまで一気通貫で回せるか。そこを見るべきです。
よくある質問
許認可の相談を受けるなかで、何度も聞かれる3つに答えます。費用と始め方は、私が実務で扱ってきた領域そのものです。
よくある質問
私からの一歩の提案はシンプルです。まず自社の荷物が「重いか・冷えているか・海外に出るか」を紙に書き出す。それだけで、声をかけるべき物流会社の種類が半分に絞れます。
